#2 必修問題について

目次

看護師国家試験は第93回から必修問題が導入されました。その評価基準は絶対基準とされ、8割以上の得点率が必須となりました。つまり、当時は30点満点中の24点以上が必要でした。
その後、必修問題が50問に増問され、現在では50点満点中40点以上の得点が必要です。
必修問題は、看護師にとって必要な基本的知識が問われており、タクソノミ―の話(#1)ででてきたⅠ型(単純想起型)及びⅠ’型(推定型)の出題が多くを占めます。

タクソノミ―による分類に基づくならば、基礎知識+常識によって解くことができますが、出題基準が269項目と広く対策するにも時間がかかります。
そのため、まずは頻出の項目をしっかり対策することが必要です。以下に近年の国家試験における必修問題を出題基準で示しました。

目標Ⅰ.看護の社会的側面および倫理的側面について基本的な知識を問う

主な内容

健康の定義と理解
  • 【第113回出題】死亡場所、平均寿命、合計特殊出生率
  • 【第112回出題】平均初婚年齢、有訴者の状況、平均寿命
  • 【第111回出題】労働力人口、死亡の動向、将来推計人口、健康寿命
  • 【第110回出題】総人口、外来受療の状況、出生の動向
  • 【第109回出題】将来推計人口、死因の概要、平均寿命、有訴者の状況
  • 【第108回出題】年齢別人口、死因の概要、外来受診の状況
  • 【第107回出題】世界保健機関の健康の定義、平均寿命、入院期間
  • 【第106回出題】有訴者の状況、死亡の動向
  • 【第105回出題】年齢別人口、平均寿命
  • 【第104回出題】年齢別人口、将来推計人口、出生の動向、死因の概要、外来受診の状況
健康に影響する要因
  • 【第113回出題】食中毒、喫煙者率、鉄摂取推奨量
  • 【第112回出題】ブリンクマン指数、食事と栄養、水質汚染
  • 【第111回出題】大気汚染物質、予防の種類、職業性疾病
  • 【第110回出題】大気汚染物質、活動と運動
  • 【第109回出題】活動と運動、喫煙、大気汚染物質
  • 【第108回出題】ストレス、食事と栄養、労働環境
  • 【第107回出題】食事と栄養、活動と運動、大気汚染物質、住環境、ワーク・ライフ・バランス
  • 【第106回出題】食事と栄養、性行動、大気汚染物質
  • 【第105回出題】活動と運動、喫煙、ストレス、地球温暖化、職業と疾病
  • 【第104回出題】食品衛生、職業と疾病
看護で活用する社会保障
  • 【第113回出題】地域支援事業、労働安全衛生法
  • 【第112回出題】労働基準法、介護保険の認定区分、医療保険
  • 【第111回出題】医療保険、介護保険の給付内容
  • 【第110回出題】介護保険の申請、国民医療費
  • 【第109回出題】国民皆保険、医療保険の給付の内容、介護保険の被保険者
  • 【第108回出題】介護保険の保険者
  • 【第107回出題】地域支援事業
  • 【第106回出題】国民医療費、高齢者医療制度、介護保険の被保険者
  • 【第105回出題】介護保険の給付内容
  • 【第104回出題】医療保険の種類、要介護認定
看護における倫理
  • 【第113回出題】臨床研究の倫理指針、身体拘束
  • 【第112回出題】緩和ケア
  • 【第111回出題】インフォームド・コンセント
  • 【第110回出題】患者の権利
  • 【第109回出題】なし
  • 【第108回出題】権利擁護
  • 【第107回出題】倫理原則
  • 【第106回出題】看護師の倫理綱領
  • 【第105回出題】自己決定権と患者の意思、倫理委員会
  • 【第104回出題】インフォームド・コンセント
看護に関わる基本的法律
  • 【第113回出題】業務従事者届
  • 【第112回出題】個人情報保護
  • 【第111回出題】看護師免許
  • 【第110回出題】保健師助産師看護師の欠格事由、看護師等の人材確保の促進に関する法律
  • 【第109回出題】保健師助産師看護師の義務
  • 【第108回出題】保健師助産師看護師の定義、保健師助産師看護師の義務
  • 【第107回出題】なし
  • 【第106回出題】保健師助産師看護師の義務
  • 【第105回出題】保健師助産師看護師の業務
  • 【第104回出題】なし

まとめ

目標Ⅰでは、統計・法律・制度について問われています。厚生労働省が公表している統計データをすべて把握することは困難です。
そのため、過去問題で出題されている統計については、最新のデータに直して理解しましょう。暗記の要素もあるため、秋からの対策でも十分間に合います。
法律や制度に関しては、必修問題で出題される範囲は限定されているので、それほど難しいものではありません。
過去問題で出題されている内容をしっかりと理解することで、十分に対策することができます。 

目標Ⅱ.看護の対象および看護活動の場と看護の機能について基本的な知識を問う

主な内容

人間の特性
  • 【第113回出題】成長発達の順序性
  • 【第112回出題】なし
  • 【第111回出題】社会的欲求、疾病・障害の受容
  • 【第110回出題】なし
  • 【第109回出題】社会的欲求
  • 【第108回出題】基本的欲求
  • 【第107回出題】基本的欲求、QOL、疾病・障害の受容
  • 【第106回出題】なし
  • 【第105回出題】なし
  • 【第104回出題】社会的欲求
人間のライフサイクル各期の特徴と生活
  • 【第113回出題】学童期の特性、壮年期のホルモン、思春期の特性、老化による視覚変化
  • 【第112回出題】幼児期の運動機能、成人期の発達課題、新生児・乳児期の栄養、幼児期の身体の発育、生理的体重減少、学童期の発達課題
  • 【第111回出題】胎児循環、学童期のバイタルサイン、平均閉経年齢、乳幼児の発達課題、青年期の身体的特徴
  • 【第110回出題】原始反射、乳幼児の身体の発育、学童期の異常、第二次性徴、老年期の発達課題
  • 【第109回出題】乳幼児の発育、親子関係、第二次性徴、アイデンティティの確立、老年期の身体的機能の変化
  • 【第108回出題】胎児期の形態的発達、新生児・乳児期の運動能力の発達、新生児・乳児期の栄養、親子関係、親からの自立
  • 【第107回出題】新生児・乳児期の運動能力の発達、アイデンティティの確立、生殖機能の衰退、老年期の身体的機能の変化
  • 【第106回出題】胎児期の形態的発達、新生児・乳児期の身体の発育、幼児期の身体の発育、第二次性徴、基礎代謝の変化、老年期の身体的機能の変化
  • 【第105回出題】新生児・乳児期の栄養、生殖機能の衰退、老年期の身体的機能の変化
  • 【第104回出題】新生児・乳児期の発達の原則、親からの自立、老年期の認知能力の変化
看護の対象としての看護と家族
  • 【第113回出題】平均世帯人員数、核家族、未婚率
  • 【第112回出題】家族成員
  • 【第111回出題】世帯構造
  • 【第110回出題】世帯構造
  • 【第109回出題】家族構成員、疾患が患者・家族に与える心理・社会的影響
  • 【第108回出題】なし
  • 【第107回出題】家族関係
  • 【第106回出題】なし
  • 【第105回出題】世帯構造
  • 【第104回出題】世帯構造
主な看護活動の場と看護の機能
  • 【第113回出題】診療所、病床面積
  • 【第112回出題】看護師の就業場所、市町村保健センター
  • 【第111回出題】訪問看護ステーション
  • 【第110回出題】保健所、特定機能病院、チーム医療
  • 【第109回出題】診療所
  • 【第108回出題】介護保険施設、地域包括支援センター
  • 【第107回出題】配置基準、訪問看護ステーション
  • 【第106回出題】病院、介護保険施設、チーム医療
  • 【第105回出題】診療所、保健所、チーム医療、介護支援専門員
  • 【第104回出題】看護方式、訪問看護ステーション、介護保険施設、チーム医療

まとめ

目標Ⅱでは、各ライフサイクルの特徴と医療関連施設について問われています。
胎児期から老年期までの人間の特徴として、解剖生理学や発達心理学に関する知識が問われるので、それらについてしっかりと対策をしましょう。
医療関連施設について、各施設の特徴について理解しておくことが重要です。
目標Ⅱについては、各特徴をまとめておくようにしましょう。 

目標Ⅲ.看護に必要な人体の構造と機能および健康障害と回復について基本的な知識を問う

主な内容

人間の構造と機能
  • 【第113回出題】運動器系、神経系、血液系、血管系、消化器系、妊娠の経過
  • 【第112回出題】神経系、血液系、体温調節、副交感神経、刺激伝導系、赤血球の特徴
  • 【第111回出題】運動器系、消化器系、循環器系、内分泌系、神経系
  • 【第110回出題】神経系、循環器系、消化器系、泌尿器系、死の受容過程
  • 【第109回出題】神経系、運動系、呼吸器系、消化器系、栄養と代謝系、死の三徴候
  • 【第108回出題】神経系、体液、消化器系、体温調節、脳死
  • 【第107回出題】神経系、運動系、消化器系、死の三徴候
  • 【第106回出題】神経系、循環器系、分娩の経過、死の受容
  • 【第105回出題】循環器系、体液、泌尿器系、内分泌系、妊娠の経過、脳死
  • 【第104回出題】免疫系、体温調節、妊娠の経過、分娩の経過
疾患と徴候
  • 【第113回出題】脳死、ウイルス、膝蓋腱反射、代謝性アシドーシスの代償性呼吸、嚥下障害、高血圧
  • 【第112回出題】下血、糖尿病、メタボリックシンドローム、炎症、CO2ナルコーシス、チアノーゼ、飛沫感染、腹痛
  • 【第111回出題】黄疸、放散痛、血液検査、感染症法、ショック、低体温、貧血、けいれん、呼吸困難、便秘
  • 【第110回出題】意識障害、低体温、喀血、貧血、緩和ケア、感染症、運動麻痺、血液検査、尿検査
  • 【第109回出題】意識障害、呼吸困難、不整脈、下痢、無尿、がん、感染症、血液学検査、尿検査
  • 【第108回出題】意識障害、チアノーゼ、不整脈、下血、生活習慣病、感染症、血液生化学検査
  • 【第107回出題】嘔吐、下痢、感覚障害、気分・感情障害、がん、感染症、血液生化学検査
  • 【第106回出題】意識障害、喀血、胸痛、下血、無尿、運動失調、感染症、小児の疾患
  • 【第105回出題】ショック、咳嗽、不整脈、尿失禁、浮腫、貧血、高齢者の疾患、血液生化学検査
  • 【第104回出題】低体温、頭痛、チアノーゼ、呼吸困難、不整脈、貧血、生活習慣病
薬物の作用とその管理
  • 【第113回出題】抗菌薬、NSAIDs、術前の休薬、緑内障の禁忌
  • 【第112回出題】薬物動態、モルヒネ
  • 【第111回出題】降圧薬
  • 【第110回出題】降圧薬、利尿薬、薬理効果
  • 【第109回出題】保存方法
  • 【第108回出題】抗癌薬、狭心症治療薬、副腎皮質ステロイド薬、禁忌
  • 【第107回出題】強心薬、抗血栓薬、下剤、麻薬、禁忌、保存方法
  • 【第106回出題】薬理効果、保存方法
  • 【第105回出題】抗感染症薬、副腎皮質ステロイド薬、禁忌、薬理効果
  • 【第104回出題】抗癌薬、糖尿病治療薬、麻薬、気管支拡張薬、禁忌

まとめ

目標Ⅲでは、人体・疾病・薬理に関する基本的知識が問われています。
全国的に多くの受験生が苦手とする項目で、とくに勉強を始めたばかりの時期では、どのように勉強してよいかわからないという方が多くいます。
それは苦手としているからこそ、必修問題レベルと一般問題レベルの違いがつきづらく、勉強範囲を膨大に感じてしまうというのも要因となっています。
各項目について、すべてをマスターしてしまおうとは考えず、まずは基本的なところから理解するということを徹底することが重要です。 

目標Ⅳ.看護技術に関する基本的な知識を問う

主な内容

看護における基本技術
  • 【第113回出題】呼吸音聴取、客観的情報、フィジカルアセスメント
  • 【第112回出題】バイタルサインの測定
  • 【第111回出題】面接技法、バイタルサインの測定、呼吸パターン
  • 【第110回出題】看護過程、フィジカルアセスメント
  • 【第109回出題】面接技法、バイタルサインの測定
  • 【第108回出題】看護過程、バイタルサインの測定
  • 【第107回出題】面接技法、呼吸音聴取
  • 【第106回出題】意識レベルの評価
  • 【第105回出題】バイタルサインの測定
  • 【第104回出題】面接技法、バイタルサインの測定、運動機能の観察
日常生活援助技術
  • 【第113回出題】導尿、床上排泄
  • 【第112回出題】誤嚥の予防、清拭、浣腸、入浴
  • 【第111回出題】義歯の取り扱い、寝衣交換、病室環境
  • 【第110回出題】食事介助、部分浴、洗髪
  • 【第109回出題】誤嚥の予防、入浴、陰部洗浄
  • 【第108回出題】誤嚥の予防、浣腸、ボディメカニクス、寝衣交換
  • 【第107回出題】誤嚥の予防、導尿、移乗
  • 【第106回出題】食事介助、浣腸、体位、部分浴
  • 【第105回出題】清拭、口腔ケア、洗髪
  • 【第104回出題】床上排泄、導尿、ボディメカニクス
患者の安全・安楽を守る看護技術
  • 【第113回出題】無菌操作、ストレッチャー
  • 【第112回出題】個人防護具、滅菌法、廃用症候群、気道異物除去、滅菌手袋
  • 【第111回出題】感染防止対策
  • 【第110回出題】手指衛生、感染防止対策
  • 【第109回出題】標準予防策、無菌操作
  • 【第108回出題】病室環境、転倒・転落の予防、感染性廃棄物の取り扱い
  • 【第107回出題】標準予防策
  • 【第106回出題】病室環境、医療安全対策、誤薬の防止、滅菌、針刺し事故
  • 【第105回出題】病室環境、標準予防策
  • 【第104回出題】病室環境
診療に伴う看護技術
  • 【第113回出題】坐薬の投与、トリアージ、除細動の目的、静脈血採血、AED、褥瘡
  • 【第112回出題】与薬方法、酸素療法、静脈血採血、一次救命処置
  • 【第111回出題】採血方法、気管内吸引、止血法、一次救命措置、注射法、輸液ポンプ、褥瘡
  • 【第110回出題】経管栄養法、副作用の観察、点滴静脈内注射、輸液ポンプ、鼻腔内吸引、胸骨圧迫、自動体外式除細動器
  • 【第109回出題】経管栄養法、与薬方法、輸血、採血方法、直流除細動器、包帯法、褥瘡の好発部位
  • 【第108回出題】経静脈栄養法、採血穿刺部位、温罨法、気道の確保、トリアージ、創傷管理
  • 【第107回出題】経腸栄養法、与薬方法、採血方法、酸素ボンベ、回復体位、褥瘡の評価、褥瘡の症状
  • 【第106回出題】与薬方法、刺入部位の観察、冷罨法、気管内吸引、胸骨圧迫、包帯法、トリアージ
  • 【第105回出題】経管栄養法、与薬方法、点滴静脈内注射、採血方法、温罨法、酸素マスク、鼻腔内吸引
  • 【第104回出題】経管栄養法、与薬方法、輸液ポンプ、採血方法、酸素流量計、体位ドレナージ、気道の確保、直流除細動器

まとめ

目標Ⅳでは、看護の基本的知識が問われています。
毎年、全国的にも正答率が高い問題も多く、合格に向けて決して間違えることのできない問題が出題されます。
過去問題を解くことも重要ですが、臨地実習で見聞きできる事柄も多く、実習での取り組みによって十分に対策ができる内容です。
とくに一般問題にも出題される基礎看護学の領域とも関連した知識なので、しっかりと対策をして高得点を目指しましょう。 

おわりに

上に示すように、同じ出題項目から何度も問題が出題されています。
このような頻出の項目をまずはしっかりと押さえましょう。次に頻出ではない項目を押さえます。
項目に過去問題があれば、どのような内容の問題が出題されるのかがおおよそ予測できます。そのため、過去問題をしっかりと学習に取り入れましょう。

必修問題は問題の難易度としては、それほど難しいものではありません。
受験学年の皆さんは夏休み明けを目途に、一通りの過去問題を使った学習を終わらせるようにしましょう。
とくに目標Ⅲは人体・疾病・薬理に関する領域で、暗記ではなく、内容を理解することが重要です。
一人ではなかなか学習が進まない方は、是非、夏期講習にご参加ください。

出題基準には269項目もあり、未だ出題されたことのない項目も多くあります。
それらの項目は過去問題がないため、手をつけにくいですが、そういった問題に関しては予想問題を活用しましょう。

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